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洗浄の不安に、根拠という答えを!! 軟性内視鏡・残留タンパク質検査入門!!
2026年02月02日2月は様々な事柄の見直しの季節かもしれません。一年の中でも、4月から新学期や就職・転職など環境が変わる前の見直しや準備を始め出す時期です。中材業務でも新年度を前に少し立ち止まって日々の業務を振り返る時期です。年末年始の慌ただしさが落ち着き、「今のやり方で本当に良いのだろうか」と考えてみてはどうでしょうか。
「忙しい中でも、決められた手順は守っている?」「洗浄装置も使っているけど・・・」「見た目は問題なさそう?」
それでもふと「本当に洗えているのだろうか?」そんな不安が頭をよぎることはありませんか。。。特に複雑な構造をした医療機器に関してはそう思いますよね。特に軟性内視鏡は構造が複雑で、洗浄不備が感染リスクに直結する医療機器です。現状は軟性内視鏡を内視鏡室で洗浄されている病院も多いので「中材業務には関係ない」と思われていませんか?実は軟性内視鏡洗浄の中央化も迫ってきています。
そこで今回は、軟性内視鏡の「洗えているの?」に対して「感覚」ではなく「根拠」で向き合うためのヒントとして、残留タンパク検査を中心とした洗浄評価について考えてみたいと思います。

なぜ洗浄評価が必要か?
軟性内視鏡洗浄で最も注意すべきポイントは、目視では「きれいに見えてしまう」ことです。軟性内視鏡の構造は、数メートルに及ぶ吸引チャンネルと細く曲がりくねった内腔で構成されています。本当に洗浄ブラシが届きにくい部位が多く存在します。つまり、内部は『見えない前提』で管理しなければならない医療機器なのです。
さらに厄介なのは、洗浄不十分な場合でも汚れが透明な膜状で付着する場合がある点です。また一見きれいに見えても、内壁には薄い残留タンパク質の層が残っていることも多くあります。
この状態こそが、内視鏡再処理における最大の落とし穴だといえます。
日本医療機器学会の『医療現場における滅菌保証のガイドライン』や、『消化器内視鏡の感染制御に関するマルチソサエティ実践ガイド』でも、洗浄工程は客観的な指標により評価されることが強調されています。
「誰が、いつ評価しても同じ判断ができる」それが洗浄評価に求められる本質です。
なぜ『残留タンパク質』を評価するのか?
洗浄評価の指標は有機物・無機物などいくつかありますが、その中で残留タンパク質が重要視されるのには明確な理由があります。
①タンパク質は『消毒・滅菌を邪魔する存在』
・血液や体液由来のタンパク質が残った状態では、高レベル消毒剤が軟性内視鏡表面の微生物に届かない。
・タンパク質が細菌を包み込むように固着し、まるで“盾”のように守って消毒剤が浸透しない。
②バイオフィルムの出発点になる
・残留タンパク質は、細菌にとって格好の栄養源です。細菌が付着→増殖→数時間でバイオフィルム形成、一度バイオフィルムが形成されると、通常の洗浄では除去が極めて困難になります。
以上2点のことから、『消毒や滅菌の成否は、洗浄で決まる』その洗浄の質を示す指標として、残留タンパク質が選ばれているのです。
現状行われている検査方法とは?
現場で使われる洗浄評価には、主に次の方法があります。
・ ATP測定
汚染の有無を広く検出できる特徴がありますが、タンパク質に特化した評価ではありません。
・残留タンパク検査
洗浄工程の質を直接評価でき、内腔サンプルの採取により評価が可能となる上ガイドラインとの親和性が高いです。ヨーロッパでは、『洗浄評価=残留タンパク測定』という考え方が、すでに標準的になりつつあります。
残留タンパク質測定は、単なるチェックではなく、洗浄プロセスを管理するための指標として位置づけられている点が特徴です。
軟性内視鏡の残留タンパク質測定を実践するポイントは?
洗浄評価を『続けられる仕組み』にすることです。洗浄評価で最も重要なのは、完璧さよりも継続性で、全数検査を目指さず定期的な抜き取りで十分な評価が可能です。結果は洗浄スタッフを「責める材料」ではなく現場を守るためのデータです。検査をきっかけに、ブラッシング方法・洗浄装置の条件・洗浄剤の選択を見直すことができれば、洗浄評価は大きな現場の味方になります。

NCCに聞いてみよう?
Q:どの検査キットを選べばよいかわかりません
A:内視鏡の種類、洗浄工程、検査頻度によって最適な方法は異なります。施設ごとの運用に合わせた選定が重要です。
Q:基準値は厳しく設定すべきでしょうか?
A:ガイドラインを踏まえつつ、現場で無理なく運用できる基準設定が大切です。
Q:洗浄装置や洗浄剤の見直しも必要ですか?
A:評価結果は、装置・洗浄剤・手技を含めた『洗浄システム全体』を見直すヒントになります。
洗浄の不安を、根拠に変えるためには?
軟性内視鏡の洗浄は、「洗えているか不安になる」「真剣に洗浄したいからこそ悩む」そんな業務です。だからこそ、根拠を持って「患者様に大丈夫」と言える仕組みが必要なのだと思います。NCC・FIクリーン事業部は、洗浄装置・洗浄剤・洗浄評価という3本柱で、ヨーロッパの知見を日本の中央材料部へ届けてきました。もし今、洗浄評価について迷いや疑問があれば、「困ったらNCCに相談しよう」そう思っていただける存在でありたいと考えています。
2月のこの時期、日々の洗浄を少しだけ見直すきっかけとして、このコラムが役立てば幸いです。
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