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2025年12月19日

今回のコラムは、中四国担当の川端通人がお送りします。
今みなさんが音楽を聴くのは配信がほとんどだと思いますが、その昔CD が全盛期の頃は
安価に音源を手に入れられる『CD レンタル』は音楽を聴く主流のひとつでした。
音楽が大好きな私もよく利用していました。が特に私が好んでよく買っていたのはレンタ
ル落ちのCD でした。100 円~300 円ぐらいの安価で 手に入るので、掘り出し物を探しに
いろんな店に通っていました。
レンタル落ちのCD は安くていいのですが一つ問題があります。それはいろんなところに
シールが貼ってあって、それが非常に剥がしにくいことです。店舗の管理番号やバーコード
の入ったもの、万引き防止のためのセキュリティー、商品を保護するためのシールなどなど。
自分のコレクションを出来るだけきれいにしたいと思っていた私はそれらのシールを根気
よく丁寧に剝がしていたものでした。今思うとよく頑張ってやっていたなあと思います。

ということで今回は中材でよくみられる「粘着残留物」をテーマにしたいと思います。
様々な要因で粘着物が医療器材に残留していますが、共通して言えることはそれらが通常
の洗浄では非常に除去しづらい、ということだと思います。
通常のアルカリや酵素洗剤、WD、超音波を問わず粘着物を洗浄物から引きはがすことは容
易ではありません。
そして粘着物が器材に残るとどんな悪影響があるのでしょうか。ひとつは機能性の低下が
挙げられます。ハサミ類に粘着物が残ると当然切れ味が悪くなります。もうひとつはそこが
細菌の温床となってしまうことです。粘着物が残ってしまうと滅菌にも影響を与えます。
つまり粘着物の除去は洗浄において非常に重要な事柄である、ということが言えます。

中材の洗浄物に残る粘着物にはどんなものがあるでしょうか。
私がよく聞くものとしては以下のものが挙げられます。
① オイフテーブのはがし跡
② イソジンドレープの粘着物の器材への残留
③ 滅菌コンテナに貼付してあるバーコードシール
などです。他にも医療用のテープなど様々な粘着残留物があるかと思います。
粘着は簡単に剥がれてしまってはその機能を充分に果たすことができません。ですが医療
機器再生を考えると除去しやすいに越したことはない。この矛盾を抱えているのが粘着残
留物の現状です。これらの粘着物にも様々な特性があります。それらを調べてみました。

《粘着物の種類》
① ゴム系粘着剤
天然ゴム自体は粘着性が低いため、一般的には粘着付与剤を添加します。そのことによって、
多くの被着体につくことが可能となる為、包装用粘着テープとしてよく使用されることが
多いです。天然ゴムは価格が安く、耐熱性や耐候性は劣っていますが、被着体の選択が小さ
いです。さらに、ゴム系粘着剤は熱に弱いということを考慮する必要があります。
② シリコン系粘着剤
耐熱性・耐寒性・耐水性、電気絶縁性に優れ、様々な被着体に優れた粘着性が特徴です。シ
リコンゴムに着き、使用可能な温度の範囲が広く、保護フィルムや各種テープの接着剤に適
しています。さらに、シリコンは高温で溶けたり、低温で固くなったりすることがないため、
粘着力の変化が少ないです。アレルギー性が低いことから、手のひらや足の裏など他の粘着
剤が苦手な部分に高い粘着性を発揮し、主な用途はシリコンゴム同士の固定や金属やプラ
スチックとシリコンゴムの貼り合わせで使用されます。
③ アクリル系粘着剤
アクリル系粘着剤は、主に耐候性・耐熱性や耐溶性などに優れています。私達の生活シーン
で考えると、携帯電話や自動車にも使われています。粘着力が弱粘着タイプから強粘着タイ
プまで設計が可能となっていることから、再剥離性が必要な加工の工程用フィルムから強
い粘着力が必要な電子部品の貼り合わせ用のテープと、用途が様々です。アクリル系粘着剤
は最大の粘着力を発揮できる状態になるまで時間がかかり、高湿な環境への耐性が優れて
いるため、ガラスや透明プラスチックの接着に適しています。また、耐老性に優れているた
め、黄色に変色することなく透明性を保つことが可能です。主な用途は、自動車の部品の固
定や太陽光発電モジュールのパネルラックの取り付け。また、金属やガラス製家具の組立て
や電気モーター内の磁石の固定、建物の外壁材の固定等に使われています。

現在の医療系で主流の粘着剤は③のアクリル系です。
シリコン系が肌に優しく性能も高いのですがコストが高いのがネックとなっています。

では粘着物の除去についてはどのように行うのがよいでしょうか。
① ベンジン
中材でよく見かけるのがベンジンです。原料は石油系、平たく言うと「ガソリンの一種」で
す。ファンデーションなどの化粧品や機械油、油性ペンなど油性のものを溶かす性質を持ち、
シールなど粘着の除去に使われます。安価に手に入るというメリットもあります。
デメリットとして、揮発性が高く引火しやすいということがあります。ハクキンカイロの燃
料としても使われることでも有名です。また吸引にも注意が必要です。
② リモネン
レモンやオレンジなどの柑橘類の皮に豊富に含まれる成分で、アロマや食品香料、洗剤など
にも用いられる成分。ゴムやアクリル樹脂などを溶かす性質を持ちます。みかんの皮で風船
を破裂させる実験などご存じの方も多いと思いますが、これはゴムを溶かすリモネンの性
質によるものです。なので粘着物を溶かして除去する能力が高いです。
デメリットとしてはアクリルを溶かす性質があるためプラスチックなどに悪影響を及ぼす
場合があるので使用上注意が必要です。
③ あとは物理的に剥がす
お湯につけて軟化させる、などの方法があります。
これは作業が大変だし効率があまり良くないことも多いと思います。また器材の表面に傷
をつけるなどダメージを与える可能性が高くなるおそれがあります。

以上、粘着物の種類やその除去方法などを見てきました。
NCC では先に紹介した「リモネン」を豊富に含むオレンジオイルベースの粘着除去剤をご
提案しております。
ポイントとしては医療用溶剤であること、天然成分を主としているので安全性が高いこと
などが挙げられます。
サンプルのご用意なども可能となりますので、粘着除去にお困りのある方はぜひ弊社にご
相談頂ければと思います。



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