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医療機器洗浄アドバイザーコラム 第52弾
2025年10月23日今回のコラムを担当させて頂きます。関東エリア担当の竹内です。
ある休日の朝、早起きが苦手な私がすっきり目覚めたので、コーヒーでも飲もうと、電子ケトルのスイッチを押したのですが…沸きません。コンセント・電源コード確認しますがうんともスンともいわない「え!!」電化製品の故障はいつも『突然』に発生します。
仕方ないと、シンク下にあった古いやかんをガスコンロにかけたとき、シューシューという音が懐かしく、昔はストーブの上にやかんを置き「水を沸かしたな」と思い返していました。
便利な電子ケトルですが、電気が前提条件。一方、やかんは少し手間がかかっても、カセットコンロさえあればどんな時でもお湯が沸かせます。
病院でも『突然』発生する自然災害に見舞われたら?私のやかんレベルでは代用できませんが、私がやかんを置いていた様に自然災害に備え準備はして置くべきではないでしょうか。
本日は、医療機器再生の一丁目一番地を担う中央材料部が、『突然』自然災害に直面した際の運用課題と、その対策について考えます。
我々が抱く『病院のあるべき姿』とは、たとえインフラが止まっても機能を維持し、地域の人々の命を守る「最後の砦」であってほしいと願いますが・・・自然災害は発生すると病院も被害を受け通常時と同等の医療提供は難しくなります。そして、その砦としての機能を保持することは困難となります。
中央材料部での対策や準備は、NCCコラム『中央材料部における震災時の洗浄業務対策.1』で深く紹介させて頂いていますので、今回は建物内への入室がままならない状況の場合を想定して説明を進めたいです。
建物被害にあった病院にフォーカスし、どのような問題が起こるか見ていきますと、
『病院機能の停止』という課題が見えてきます。
病院機能停止の状況下で中央材料部が直面する具体的な問題点は以下の通りです。
★ 病院の心臓部である電気・ガス・水道といったライフラインが止まります。
水・電気(一部蒸気)に頼る洗浄機や滅菌機は、一切動かせることが出来ず、最も重要な器具の洗浄
・滅菌業務がストップします。
★ 道路陥没・交通機関麻痺により物流ストップが滞り、医療材料など、必要な資材が届かなくなります。
限られた医療材料・器具で緊急手術や治療対応が求められますが、洗浄・滅菌困難が滞り、いずれ
新規患者へ対応は出来なくなります。
この深刻な状況を前に、中材のスタッフが慌てず、対応をする準備が必要です。では、どうすればよいでしょうか?それは、電気も水も止まった最悪の状況を想定し、「やかん」のようにインフラに頼らない代替手段を日頃より検討し準備しておくことです。
特に、全ての医療機器再生のスタートである「洗浄」が止まると全てが止まります 。建物被害が発生している時でも「仮設で、野外で効果的に医療機器が洗浄できるか?」が問われます。
我々は【自然災害時にでも医療を止めない】という想いのもと、少量の水で洗浄を可能にし、ポータブル電源で稼働可能な【卓上超音波装置と除菌洗浄剤の組み合わせ】を、平時にも洗浄業務として使用し自然災害に備えることをお勧めしております。
この作業を平時から業務として運用しておけば、万が一の際にも落ち着いて作業が出来、
要らぬ心配も軽減出来るのではと考えます。
最後に。当事業部の創設メンバーには、阪神淡路大震災で被災し、現場からの切なる要望に対処出来なかった悔しい思いをした者もいます。その教訓を胸に、日頃より準備しておくことは無いか?を中材側視点で日々考えて活動をしております。
正直、自然災害の準備など考えたくもありませんが、残念ながら災害は前触れなく突然起こりうるのが現実です。準備だけはして頂ければなぁと切に願います。
今回のコラムで災害時に備えた洗浄体制を見直そうと思われた方がいらっしゃれば幸いです。
楽しい未来の為に、来る最悪を迎え撃つ準備を是非一緒にやっていきませんか?
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