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2026年01月09日
医療器材の予備洗浄とは!! 〜予備洗浄を減らして、もっと安全な現場へ〜

2025年12月19日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第54弾

2025年12月19日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第53弾

2025年12月11日
ミスゼロへの挑戦!手術器材識別の『現在』と『未来』

2025年11月04日
洗浄は『見えない汚染との闘い』医療機器洗浄とは異なる産業用洗浄の紹介

2025年10月23日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第52弾

2025年10月21日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第51弾

2025年10月01日
『輪じみ』『さび増加』の真犯人は? 手術器具の仕上がりを変える『水質』の落とし穴

2025年09月10日
洗浄評価の悩み、解決のヒントを見つけませんか?

2025年08月09日
【中材必見】「SSIは中材のせい」と言わせない!洗浄業務の「なぜ?」を自信に変える記録管理術

2025年07月08日
暑さを吹き飛ばせ!!7月の中央材料室を快適に過ごすヒント

2025年06月07日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第50弾

2025年06月07日
蒸し暑さを吹き飛ばす、ヨーロッパからの新しい風:         手術器具再生用洗浄剤の『医療機器承認』という選択

2025年05月14日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第49弾

2025年05月01日
ヨーロッパに学ぶ、環境にやさしい医療機器再生洗浄剤の最前線

2025年04月17日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第48弾

2025年04月03日
手元を明るくするだけで、洗浄の質が向上する!     ― 視認性と洗浄清浄度の関係 ―

2025年03月10日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第47弾

2025年03月06日
ヨーロッパにおける内視鏡洗浄の現状

2025年02月13日
医療器具の洗浄評価はどうする~小さなことから習慣化~

『輪じみ』『さび増加』の真犯人は? 手術器具の仕上がりを変える『水質』の落とし穴

2025年10月01日

中央材料部の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。10月に入り、朝晩はひんやりとした空気に包まれ、本格的な秋の訪れを感じる頃となりました。季節の変わり目、インフルエンザが流行って来ています。関西では既に流行期に入ったとか⁉
皆さん体調管理に注意しながら、日々患者様の安全のために尽力されている皆様に少しでも参考になればと思い以前の『洗浄水の選択』コラムの深堀を行い。多くの現場の方々が直面するこの洗浄水の悩みの技術的な原因と、解決策を専門的な視点から解説したいと思います。

さて、ウォッシャーディスインフェクター(WD)での洗浄後、ステンレス製の器具表面に残る白い「輪じみ」や、原因不明の「さび(腐食)」の増加にお悩みではありませんか?

「洗浄機や洗剤を変えても解決しない…」もしそう感じていたら、その原因はもしかすると、洗浄に使っている洗浄水にあるかもしれません。

・洗浄後の「シミ・さび」はなぜ起こる?

洗浄が終わり、乾燥工程を終えた器具に現れる「仕上がりの変化」は、見た目の問題だけでなく、医療安全と経済性に直結する重大なサインです。

仕上がりのトラブルで一番、発生する事項は、ウォータースポット(白い輪じみ)です。
その原因は、硬度成分とシリカで、水道水には、カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)といった硬度成分が溶け込んでいます。これらのミネラルは高温になると炭酸塩として析出しやすく、洗浄後の乾燥時に水分が蒸発する際、器具表面に「白い輪じみ(スケール)」となって残ります。また、シリカも同様に、硬質の白い粉状のシミ(ウォータースポット)として光沢を失わせる原因となります。

医療安全的な概念で話をすると、このスケールは、実は洗浄剤の働きを低下させるだけでなく、目に見えない有機残留物やバイオフィルムの温床(足場)にもなりますので、発生させない(残留させない)のが一番です。

・「さび」の増加と機器の寿命を縮める犯人は、塩化物イオンといっても過言ではありません。

ウォッシャーディスインフェクターでの洗浄トラブルの多くは、「さび(腐食)」の発生になります。

その「さび(腐食)」に最も関与する物質が、水中に含まれる「塩化物イオン」だと思います。
水道水など処理が不十分な水を最終リンスに使用した場合、器具表面に残った水滴が熱乾燥によって蒸発する際、溶けていた塩化物イオンの水滴が触れていたごく狭い範囲に強制的に濃縮されこれを残留物濃縮といいます。

この濃縮された高濃度の塩化物イオンは、ステンレス鋼を錆から守っている「不動態皮膜」を局所的に破壊します。これが、器具に微細な黒い穴を開ける「孔食(ピッティング)」と呼ばれる非常に危険な腐食形態を引き起こし、最終的に器具の早期故障や機能低下に繋がります。

・トラブルを防ぐ「理想の水」と管理の鍵とは?

ヨーロッパの先進的な医療現場では、最終リンスに特定レベル以上の高純度水を使用することが、患者安全と機器耐久性の標準として位置づけられています。

・最終リンスに必須! 高純度水(RO/DI水)の重要性
医療機器の洗浄においては、残留物ゼロを目指すため、最終リンスには極めて低い導電率を持つ高純度水
(RO水、DI水)の使用が不可欠です。

この高純度水を使用することで、腐食の原因となる塩化物イオンや、シミの原因となる硬度成分を効果的に除去でき、洗浄後の乾燥時に残留物濃縮によるトラブルを根本的に防ぐことができます。

※ ヨーロッパでの最終すすぎ使用洗浄水の推奨基準は、AAMI TIR34やISO 15883などを参考に定めています。

・水質管理システムの「継続的な監視」
水処理システムは、導入したら終わりではありません。水質トラブルを未然に防ぐためには、継続的な監視プログラムが重要です。

導電率モニタリングでRO膜などの水処理システムの性能が劣化していないかをリアルタイムで把握する最も戦略的なツールです。また、定期的な水質分析を第三者機関に出し行うことにより、腐食リスクの高い塩化物イオン濃度を定期的に追跡し、基準値を厳守できているかを確認できます。これにより、水質に起因するシミや腐食を特定できた場合は、専門的な分析(EDSなど)によって残留物の組成を調べ、その起源(塩素、シリカなど)を特定することが、トラブルシューティングの第一歩となります。

・本コラムの結論は、水質管理はコスト削減と安全の要である!!

中央材料部での水質管理の失敗は、単なる見た目の問題ではなく、スケール、バイオフィルム、そして塩化物イオンによる腐食性濃縮という多層的なメカニズムを通じて、不可逆的な機器の材質劣化を引き起こします。
高純度水の厳格な適用と、その供給システムの継続的な監視は、医療機器の故障を防ぎ寿命をのばし、経済的
なコストを削減するといえます。

洗浄保証を確固たるものとし、 患者への感染リスクを最小限に抑えるには、現代の医療安全管理体制において、水質基準の厳格な遵守は最優先され見た目にも綺麗な医療機器を患者様に使用していくことではないでしょうか?

NCC・FIクリーン事業部では、ヨーロッパ基準の高度な洗浄剤、ウォッシャーディスインフェクターに加え、水質評価と水処理システムの最適化に関する専門的なサポートもご提供しています。
お悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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