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NCC Column
NCC Column Title
2025年06月07日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第50弾

2025年06月07日
蒸し暑さを吹き飛ばす、ヨーロッパからの新しい風:         手術器具再生用洗浄剤の『医療機器承認』という選択

2025年05月14日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第49弾

2025年05月01日
ヨーロッパに学ぶ、環境にやさしい医療機器再生洗浄剤の最前線

2025年04月17日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第48弾

2025年04月03日
手元を明るくするだけで、洗浄の質が向上する!     ― 視認性と洗浄清浄度の関係 ―

2025年03月10日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第47弾

2025年03月06日
ヨーロッパにおける内視鏡洗浄の現状

2025年02月13日
医療器具の洗浄評価はどうする~小さなことから習慣化~

2025年01月30日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第46弾

2025年01月08日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第45弾

2025年01月08日
~アルカリ洗浄剤の進化~               ヨーロッパ諸国における強アルカリ酵素洗浄剤の進化と特長

2024年12月11日
ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラム特性について

2024年12月06日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第44弾

2024年11月07日
中央材料室の区域区分に関して

2024年10月31日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第43弾

2024年10月03日
立ち仕事の身体への負担と負担軽減の工夫

2024年09月24日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第42弾

2024年09月09日
医療器具洗浄のヨーロッパ情報と洗浄評価実施のタイミングと種類

2024年08月22日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第41弾

医療機器洗浄アドバイザーコラム 第36弾

2024年04月11日

関東エリア担当の竹内です。3月と言えば年度末や卒業など節目の時期でもあり、今までの慣例を見直し、来る4月に向け見直すタイミングとして良い時期でもあります。
さて今回のテーマは器材洗浄において、当たり前のように行っていてかつ、実はとても大事な役割を担うすすぎが、洗剤残留した場合における悪影響についてお話ししたいと思います。

すすぎとは? 水で洗い汚れをすすぎ落すことと、残留洗剤を落とすことです。
家庭においては洗濯ものや家庭用食器など、すすぎ残りがあると、タオルは手触りがごわごわしますし、食器もヌルヌルが残って良くないですよね。

では中材において主に手洗いやウオッシャーディスインフェクターですすぎを行なっておりますが、役割や重要性はとは?

役割としては洗浄工程で器材に付着した汚れをまず洗浄液中に引き離すことです。
そして汚れを包み込んだ洗浄液をすすぎで洗い流すことで汚れの再付着を防止することが大事です。

ではここで皆様に質問です。
『すすぎが確実に行なえた』ことに対する判断や確認は実施しておりますでしょうか?
手洗いや浸漬洗浄後に器材を流水ですすぐ際には、触った感じや手の触感でヌルヌルしていればすすぎが不十分であると判断出来ますが、目視だけではすすぎがきっちり行えたかどうかは判断出来ません。

すすぎが不十分で汚れが残った場合は、洗浄不良・滅菌不良による再洗浄対応ですが、洗浄剤自体が器材に残留したまま払い出された器材が患者様へどのような悪影響があります。皆様も一度は聞かれたことがあると思いますが、TASS(赤目症状)が挙げられます。
Toxic Anterior Segment Syndrome以下略して(TASS=無菌性眼内炎)は白内障手術などの内眼手術後、非感染性物質によって前眼部に発症する炎症性疾患といわれており、その原因として挙げられるのが、洗剤残留物やエンドトキシン(菌の死骸が放つ毒素)と言われております。アルカリ洗剤では無く中性酵素洗浄剤だから大丈夫・・とはいかず、眼科・マイクロ器材など酵素残留は非常に危険です。

また近頃では最終すすぎ工程時に酸性のメンテナンス剤を使用する病院も増えており人体にももちろん問題ですが、メンテナンス剤残留により、器材が酸性に偏ることで黒や紫色に変色したという報告を受ける事が多々ありすすぎ不十分によるリスクは洗浄不良のみにとどまらず、後に重大なインシデント(トラブル)を引き起こすことがあります。


簡単なすすぎ性確認としては、pH試験紙を用いてウォッシャーディスインフェクターから出てきた後pH試験紙で中性域に戻っているか目視確認が出来ます。

ウォッシャーディスインフェクターも装置が古くなって来ると洗剤分注量に誤差がでます。もし洗剤が多く分注され、すすぎ性が甘かった場合においてもpH試験紙を使用しますと簡単に目視で洗剤残留を判断できます。
洗浄ばかりにどうしても目が行きがちですが、すすぎ性にも目をやり残留物が発生していない事を確認する事により患者様へ安心安全な医療機器を提供できるのではないでしょうか。


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