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NCC Column
NCC Column Title
2025年06月07日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第50弾

2025年06月07日
蒸し暑さを吹き飛ばす、ヨーロッパからの新しい風:         手術器具再生用洗浄剤の『医療機器承認』という選択

2025年05月14日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第49弾

2025年05月01日
ヨーロッパに学ぶ、環境にやさしい医療機器再生洗浄剤の最前線

2025年04月17日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第48弾

2025年04月03日
手元を明るくするだけで、洗浄の質が向上する!     ― 視認性と洗浄清浄度の関係 ―

2025年03月10日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第47弾

2025年03月06日
ヨーロッパにおける内視鏡洗浄の現状

2025年02月13日
医療器具の洗浄評価はどうする~小さなことから習慣化~

2025年01月30日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第46弾

2025年01月08日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第45弾

2025年01月08日
~アルカリ洗浄剤の進化~               ヨーロッパ諸国における強アルカリ酵素洗浄剤の進化と特長

2024年12月11日
ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラム特性について

2024年12月06日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第44弾

2024年11月07日
中央材料室の区域区分に関して

2024年10月31日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第43弾

2024年10月03日
立ち仕事の身体への負担と負担軽減の工夫

2024年09月24日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第42弾

2024年09月09日
医療器具洗浄のヨーロッパ情報と洗浄評価実施のタイミングと種類

2024年08月22日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第41弾

医療機器洗浄アドバイザーコラム 第29弾

2023年10月26日

中四国エリア担当の川端です。
秋もだいぶ深まって来て朝夕の寒暖の差が激しく体調を崩しやすい季節ですので体調管理をしっかりして行きたいものです。

今回はクロイツフェルト・ヤコブ病についてのテーマでお届けします。
クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は神経難病のひとつで、精神症状で始まり発症から1~2年で全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで死亡します。
原因は、感染性を有する異常プリオン蛋白と考えられています。CJDは世界中に広く分布しており、日本では人口100万人に年間1人前後の
率で発症するといわれています。日本では年間約200例(平成20年人口動態統計)の弧初性CJD患者が発生しています。

日本では2020年に『プリオン病感染予防ガイドライン』が日本神経学会より発表されており、
日常の診療や介護から手術器具の消毒・滅菌に関することや病理学検査まで様々な状況での感染予防について述べられています。
こちらのガイドラインは2008年版の改訂版となりそのアップデートされた内容になっています。
また記述はクリニカル・クエスチョン (CQ)形式となっており、クエスチョンに対して回答、解説していく形のガイドラインとなっています。

異常プリオン蛋白は通常のウィルスや細菌などの感染性物質などと較べ不活性化させることが困難な物質です。
このプリオンの不活性化(洗浄・消毒・滅菌)についても本ガイドラインでは詳しい記述がなされています。

まず不完全な方法としては以下の事柄が挙がります。

不完全な不活性化(伝達性が残存)
・オートクレーブ(134℃,18分)
・3%SDSボイリング、1M〜2M NaOH(20℃,1時間)、
・中濃度アルカリ洗浄液(pH12以下,55℃もしくは65℃)
・過酸化水素ガス滅菌(濃度、温度条件により伝達性が検出できない場合もある)

ほとんど不活性化されない(伝達性がかなり残る)
・過酢酸
・SDS(室温)
・過酸化水素水
・酵素洗浄剤

これら単体では不完全な不活性化法ではありますが、これらを組み合わせることで
伝達性を検出限界以下にすることが可能である、とされています。
ですので実際に不活性化を行う場合、複数の不活性化法を組み合わせて行う事が強く推奨されています。
例えば、アルカリ洗浄剤とオートクレーブを組み合わせることにより高いレベルの不活性化が可能となります。

ただこちらのガイドラインでは
第2章 プリオンの不活性化
第3章 ハイリスク手技に用いられた手術器械
第4章 脳神経外科手術
第5章 眼科治療
第6章 歯科治療
第7章 整形外科治療
第8章 消化管内視鏡検査
と科目などで章ごとに分かれておりそれぞれの章に不活性化の方法の記述があります。
微妙にそれぞれの章で書かれていることに違いがあります。
WDとオートクレーブを備えている施設での方法としては概ね以下方法が書かれています。
自施設でのご参考になれば幸いです。

(A)アルカリ洗浄剤を使用できる器械(必ず、高温アルカリ洗浄を行う!)

WDによる高温アルカリ洗浄(90~93℃) → オートクレーブ(134℃、8~10分間)

(B)アルカリ洗浄剤を使用できない器械

適切な洗浄剤による十分な洗浄 → オートクレーブ(134℃、18分間)


海外でのガイドラインはこれらの方法とはまた異なる記述があり、当然ですが国ごとに考え方は変わってきます。
海外でのプリオン不活性化についてはまた別の機会でご紹介したいと思います。

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