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NCC Column
NCC Column Title
2025年06月07日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第50弾

2025年06月07日
蒸し暑さを吹き飛ばす、ヨーロッパからの新しい風:         手術器具再生用洗浄剤の『医療機器承認』という選択

2025年05月14日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第49弾

2025年05月01日
ヨーロッパに学ぶ、環境にやさしい医療機器再生洗浄剤の最前線

2025年04月17日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第48弾

2025年04月03日
手元を明るくするだけで、洗浄の質が向上する!     ― 視認性と洗浄清浄度の関係 ―

2025年03月10日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第47弾

2025年03月06日
ヨーロッパにおける内視鏡洗浄の現状

2025年02月13日
医療器具の洗浄評価はどうする~小さなことから習慣化~

2025年01月30日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第46弾

2025年01月08日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第45弾

2025年01月08日
~アルカリ洗浄剤の進化~               ヨーロッパ諸国における強アルカリ酵素洗浄剤の進化と特長

2024年12月11日
ウォッシャーディスインフェクターの洗浄プログラム特性について

2024年12月06日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第44弾

2024年11月07日
中央材料室の区域区分に関して

2024年10月31日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第43弾

2024年10月03日
立ち仕事の身体への負担と負担軽減の工夫

2024年09月24日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第42弾

2024年09月09日
医療器具洗浄のヨーロッパ情報と洗浄評価実施のタイミングと種類

2024年08月22日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第41弾

医療機器洗浄アドバイザーコラム 第38弾

2024年05月10日

中四国エリア担当の川端です。
仕事がら車の運転を毎日のようにします。
駐車場などで駐車する際、私の場合7~8割ぐらいはアタマから
突っ込んで駐車する、いわゆる前進駐車をします。
なぜかと問われると自分でも明確にこれといった理由はありません。
この方が停めやすいし出る時も特に問題ないと思っています。ただ私以外の車の
8割以上はオシリから入れるいわゆる後方駐車です。
これが日本の常識なんだと思います。
対してアメリカではほとんどの車がアタマからの前進駐車をするそうです。
なぜなんでしょうか。日本人とアメリカ人の国民性の違い?文化の違い?
理由は諸説あるようですが、前進駐車がアメリカの常識のようです。
ところ変われば常識も当然のように変わる、ということはいろんなシチュエーションで
よくあることだと思います。
ちなみに私にももしかしてアメリカの血が流れているのか、と思い母親に聞いてみたら
「あんたは純血のコテコテの関西人や!」と言われました(笑)。

さて今回は一次洗浄についての話題に触れていきます。
WDの洗浄だけで汚れを落としきれないものに一次洗浄(予備洗浄)を行っている施設様が多いと思います。その中でも日本では恒温槽による浸漬洗浄が一次洗浄として広く用いられています。

『用手洗浄』について書かせてもらった当コラムの第20弾では以下のように触れました。
日本の「滅菌保証のガイドライン2021」では用手洗浄に使用するものとして恒温槽の記載はあるが超音波の記載はなし。
ドイツの『ZENTRAL STERILISATION』という2013年のガイドラインでは恒温槽の記載はなく超音波洗浄機の記載がある、という状況です。
つまり日本とヨーロッパでは用手洗浄の常識が違っています。

常識にとらわれず恒温槽と超音波洗浄機の両者を比較してみたいと思います。
恒温槽の特長は
①温度管理
浸漬洗浄で主に使われる酵素洗剤の活性適温は大体40℃ぐらいです。恒温槽は定めた温度を一定に保つ温度管理ができ洗浄効果を高めます。
②洗剤の浸透効果
恒温槽では器材を洗浄液に浸漬するので細かな隙間や内腔にも洗剤の効果が行き渡ります。
③物理的洗浄効果
恒温槽は槽内の温度を一定に保つため撹拌を行う機能があり水流が起こります。
これにも物理的に汚れを洗浄物から引き剥がす効果が多少あります。

対して超音波ですが
①温度管理
製品にもよりますが温度管理が可能な機種は多く、恒温槽と変わらない機能があります。
②洗剤の浸透効果
恒温槽と同様の効果があります。
③物理的洗浄効果
超音波キャビテーションという簡単に言うと泡の破裂のような現象で汚れを剥ぎ取ります。直進流という水流効果も起こるため恒温槽に比べるとかなり高い物理的洗浄効果が期待できます。

この他にも
超音波の物理的要素が洗剤の化学的な洗浄要素を補えるので洗剤を半分程度まで減らしても高い洗浄効果を期待できたり、同じ理由で洗浄時間の短縮も期待できます。
ここまでだと超音波の方がメリットが大きそうです。
超音波の方でデメリットを考えると、そのひとつは槽の大きさだと思います。
超音波洗浄機にも様々な大きさがあるので一概には言えませんが、いろんな病院の中材を見る機会の多い私の感覚では恒温槽の方が処理できる量は多いのではないかと思います。

このようにそれぞれに良し悪しはあるとは思います。
私の個人的見解としてどちらがより一次洗浄の方法として優秀かと考えると、それは超音波の方だと思っています。私がお世話になっている施設様でも以前、吸引嘴管の洗浄に困られていたのですが卓上超音波洗浄機を導入したことで吸引嘴管の洗浄評価の結果が継続的に各段に良くなった、という経験をしています。

具体的に超音波の方が優れていると思える理由を挙げると
①ランニングコストが安い
先述したように洗剤の使用量は約半分程度になると考えられます。導入費用としては超音波の方が高くつくかも知れませんが長期的に考えると超音波の方が経済的ではないでしょうか。
②時間短縮、作業量の低減
超音波の物理的洗浄効果により浸漬を行う時間も半分以下に減らすことが可能だと考えます。またブラッシングなどの手作業も減らすことができます。
③災害時への備え
昨今頻繁に起こっている大地震などの災害が起こり、大型の洗浄機が動かせない状況に陥ったら器材の洗浄はどうなるでしょうか。
卓上の超音波があれば簡易的な電源と少量の水で洗浄が行えます。
80℃以上の温度管理ができれば消毒も可能ですし、洗浄と消毒を同時に行える洗剤もあるので災害時にも清潔な器材の供給が可能になると考えます。

③については特に意識されている施設様もあまり多くないのではと感じますし、今後特に重要になってくると考えています。

弊社にも卓上の超音波洗浄機、消毒もできる用手洗浄剤なども取り揃えておりますのでぜひお問合せください。
今後も常識を変えていく、あるいは超えていけるような業務改善のご提案を考えていきたいと思います。

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