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2024年05月10日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第38弾

2024年05月09日
医療機器”洗浄スポンジ”や”洗浄ブラシ”の交換時期判断基準

2024年04月30日
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2024年04月12日
なぜ?家庭用食器洗浄剤を使用してはダメなのか?

2024年04月11日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第36弾

2024年03月01日
純水装置(RO製造措置)の注意点や管理ポイント

2024年02月17日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第35弾

2024年02月10日
病院が行っている一般排水と感染性排水の処理方法

2024年01月29日
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2024年01月29日
軟性内視鏡の洗浄に関して

2023年12月14日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第33弾

2023年12月13日
軟性内視鏡中央化の現状

2023年11月13日
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2023年11月13日
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2023年10月26日
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2023年10月26日
医療機器洗浄アドバイザーコラム 第28弾

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中央材料部における震災時の洗浄業務対策.1

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ダメージレス再生の専門家として

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2024年04月30日

近畿・東海・北陸エリア担当の竹中です。

ようやく春の暖かさが感じられる気候になりました。
花粉症の方はまだ注意が必要かもしれませんが、
思いっきり洗濯物をベランダに干せるようになりましたね。
最近は、部屋干しでも嫌な匂いが出ない洗剤が販売されていますが、
自然の風と太陽で乾かす衣類の方が気持ちいいです。

ここで質問です。なぜベランダに干した洗濯物は乾くのでしょうか?

答えは、洗濯物に触れている空気が乾燥していると
衣類に含まれている水分が蒸発し衣類の表面に水の層をつくります。
そこに風が吹くと、水の層が吹き飛び、衣類の表面は乾燥状態になります。
衣類の内部の水分が再び表面に移動して、新しい水の層をつくります。
さらに、風によって吹き飛びます。
この様な現象で洗濯物は自然に乾きます。
梅雨時に比べると気温が低くても風が強く乾燥している冬の方が
乾きやすい事が納得できます。

中材業務でも乾燥は非常に重要な項目です。
なぜかと言うと組み立てエリアはドライエリアと言われる様に水分は厳禁です。
ではなぜ水分が厳禁なのか分かりますか?
それは滅菌バックが濡れると使用できなくなるからです。
そこで、ベランダでの洗浄物の乾燥とは違い、ウォッシャーディスインフェクターの乾燥は、
熱を加えて強制的に器材から水分を飛ばす方法が取られています。

皆様のウォッシャーディスインフェクターから出てきた器材の乾燥状態はいかがですか?
「ほとんど乾燥していない」「少し水滴が残っている」「完全に乾燥している」など、
病院によってさまざまだと思いますが、中材業務の運用の違いでこの差が出てきます。

「ほとんど乾燥していない」中材では、恐らくエアガンや乾燥庫を多用し、
乾燥時間を出来るだけ短くする運用を取られていると思います。
洗浄物が多い病院では、ウォッシャーディスインフェクターの乾燥機能では時間が掛かるので、
洗浄が終わると器材を乾燥庫に移して乾燥させます。
そうすると次の洗浄物を空いたウォッシャーディスインフェクターで
洗浄する事が出来るので、運転効率が上がります。
「餅は餅屋」タイプです。

「少し水滴が残っている」中材は、恐らく乾燥庫の台数が少ないので、
特に乾燥しにくい器材(樹脂、内腔など)は、エアガンや乾燥庫で仕上げの乾燥を行い、
ほとんどの金属製器材は、ほぼ乾燥した状態でウォッシャーディスインフェクターから
出てくる状態です。
ウォッシャーディスインフェクターの乾燥機能と乾燥庫を併用する「ハイブリッド」タイプで、このタイプの中材が多いと思います。
乾燥庫を購入出来れば、「餅屋は餅屋」タイプになれますが、購入費用や設置場所の問題が
ありますね。

この「餅は餅屋」タイプと「ハイブリッド」タイプでは、残念ながらドライエリアに
水分を持ち込む事になります。今までの運用方法を変える事は難しく、限られた時間、
限られた人員、限られた設備で業務を行われていると思いますので、
今直ぐ改善するのは難しいと思います。
今後の対策として、乾燥促進剤を使って乾燥時間を短縮する方法や
ウォッシャーディスインフェクターの更新の際に、乾燥効率の良い機種を選定するなど
検討されてはいかがでしょうか?

最後の「完全に乾燥している」中材は、乾燥庫へ器材を移動させる手間を省く為に、
ウォッシャーディスインフェクターの乾燥機能をフル活用されている運用です。
移動の手間を省ける事と水分が準清潔エリアに入る事を防げるメリットがあります。
また、夕方に洗浄を開始して、翌朝ウォッシャーディスインフェクターから
器材を取り出しても、錆びの心配がありません。
デメリットとしては、どうしても1回の洗浄時間が長くなるので、
少しでも洗浄時間を短くしたい病院には向かない運用です。
「機械にお任せ」タイプです。

因みに、完全乾燥の確認方法をご存じでしょうか?
その方法は、洗浄装置から取り出した、器材が載ったバスケットを作業台の5cm上から
落とします。作業台に水滴がなければ完全乾燥していると判断できます。
「機械にお任せ」タイプと思われている方も一度お試し下さい。


この「機械にお任せ」タイプですが、我々が行っている定期洗浄評価で、
1つ問題があります。
アルカリ性洗剤のすすぎ確認や中和剤が適度に分注されているかの確認を、
残っている水のpHを調べて行います。
例えば、アルカリ洗剤の場合、残っている水のpHが中性であれば、
すすぎが出来ていると判断します。
乾燥がよいと十分な水の採取が出来ず、すすぎ確認が出来なくて困ります。
乾燥工程の前に洗浄装置を一旦停止して水を採取する事もできますが、
業務に支障がでるので、基本的には行いません。

それぞれ一長一短がありますが、一度洗浄プログラムの乾燥工程が「何分」「何℃」の設定になっているか確認してみてください。
貴院が3つのどのタイプか分かると思います。

余談ですが、お休みの日、私がベランダで洗濯物を干している事は言うまでもありません。
但し、洗濯物をたたむのは苦手です。

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