本文へスキップ
お問い合わせ

NCC Column

NCCコラム

医療機器洗浄や運用ノウハウなど、現場に役立つ情報をコラム形式で発信します。

2025.05.14 医療機器洗浄の基礎

医療機器洗浄アドバイザーコラム 第49弾

近畿・東海・北陸エリア担当の竹中です。

最近、家族で近くのイオンモールに「お米」を買いに行きましたが、

妻が急に「この眼鏡、最近見えにくいねん!」と言い出し、

急遽、眼鏡屋さんに寄る事になりました。

妻が選んだフレームは、妻が「推し活」しているバンドグループ(男3人組)のボールが

掛けている物と同じで、そのチョイスに私は少し引いてしまいました。

妻の視力検査を待っていると店員さんが私に「待って頂いている間に眼鏡の洗浄をしましょうか?」と声をかけてくれました。

私の予想通り、小型の超音波洗浄器で1分ほど洗浄し、

その後、緩んだネジを増し締めしてくれました。

「ピッカピカ」になった眼鏡を見て改めて超音波洗浄の効果を実感しました。

新しくなった眼鏡で、妻がルンルンになった事は言うまでもありません。

そこで、今回のコラムは、超音波洗浄の効果とダメージについて

お伝えします。

超音波洗浄装置のカタログを見るとこの様な表記があります。

◆周波数

NCCも真空超音波洗浄装置や卓上超音波洗浄装置を扱っているので、

お客様から「周波数は何㎑ですか?」と質問を受ける事があります。

ではこの「周波数」について皆様はどこまでご存知でしょうか?

超音波洗浄装置は、振動子によって発生した超音波により、水圧が高い箇所と低い箇所が発生し、水圧が高い箇所で空隙がつぶされ破裂します。

これらの現象がキャビテーションで、この力で洗浄を行います。

キャビテーションの強さは周波数(波の数)によって異なります。

周波数が高い場合は、振れ幅が小さくキャビテーションの衝撃は弱くなり、

逆に周波数が低い場合は、振れ幅が大きくキャビテーションの衝撃は強くなります。

周波数が低いとキャビテーションの衝撃が強いため、頑固な汚れを除去できますが、

洗浄物へのダメージも大きくなります。

簡単にまとめると下記の通りです。

・周波数が低い

 キャビテーション核が大きくなり、頑固な汚れに適しています。

・周波数が高い

 キャビテーション核が小さくなり、微細で精密な器材をマイルドに洗浄します。

単純考えると周波数が高いと洗浄能力が高くなりそうですが実はその逆です。

また、周波数が低いとキャビテーションの発生間隔が長くなり

洗浄ムラが発生しやすくなる問題点があります。

では、医療器材の洗浄に適している周波数は?

医療器材の超音波洗浄に適した周波数は、35kHz~40kHzの範囲と言われています。

この範囲は、微細な汚れや細菌、ウイルスを効果的に除去できるため、医療機器の洗浄に適しています。

低周波(28kHz):大きなキャビテーション気泡(約24μm)

:強力なキャビテーション効果を生じる頑固な汚れに効果的

ただし機器へのダメージリスクが高い

中周波(40kHz): 中程度のキャビテーション気泡(約16μm)

:バランスの取れたキャビテーション効果

一般的な医療機器の洗浄に適していて比較的ダメージが少ない

高周波(72kHz): 小さなキャビテーション気泡(約10μm前後)

:産業系の洗浄に特化、機器へのダメージが最も少ない

余談ですが、産業系分野では、下記の周波数が用いられています。

・70kHz~400kHz:レンズやHDD部品などの精密な部品の洗浄に適しています。

・500kHz~3MHz:LCDガラスや半導体ウエハなどの精密な洗浄に用いられる。

ここでもう一つ質問です。

それでは38kHzと40kHzではどの様な違いがあるでしょうか?

結論からお伝えすると、誤差の範囲で大きな違いはありません。

原理的には、40kHzの方がマイルドに洗浄できますが、キャビテーションの大きさは

殆ど変わらないので気にする必要はありません。

◆周波数以外に気をつける点が2つほどあります。

一つ目が、過剰な出力・時間です。

過剰な出力や洗浄時間が長いと、表面の微細な加工やコーティングが剥離する可能性あり下記の事例があります。

歯科用ミラー → 超音波洗浄によって鏡面が損傷し、視認性が低下する

精密な切削器具の刃先 → 微細な振動が集中し、刃先が損傷する可能性がある

内視鏡などの光学機器 → レンズやファイバーが損傷する恐れがある

接着剤で固定された医療機器 → 接着部分が劣化・剥離する可能性がある

メッキや塗装が施された医療機器 → 表面処理が損傷することがある

特に眼科用マイクロサージャリー用器具などの繊細な器材も注意が必要で、

洗浄前に添付文章を必ず確認して下さい。

二つ目が、材質との相性です。

材質によって超音波の影響の受け方が大きく異なります。

ステンレス製医療器具 → 一般的に超音波洗浄に適しており問題が少ない

接合部や溶接部がある医療器具 → 超音波による振動で接合部が緩む可能性がある

軟性の材質 → 超音波を吸収してしまい洗浄効果が低下する

軟質の器材や、キャビテーション効果(破裂)を吸収する材質の器材(シリコン、ゴム製品など)は、洗浄効果が十分に得られない可能性があり注意が必要です。

超音波洗浄は医療器材の洗浄に適しています。

周波数が低いほど洗浄力は高いですが、ダメージリスクも高まります。

逆に周波数が高いほど洗浄力は弱くなりますが、繊細な部品への安全性が

高まります。最適な洗浄を実現するためには、洗浄対象物の材質・構造と除去したい

汚れの性質を考慮して考えると医療機器に適している周波数は、35kzH~40kzHでは

ないでしょうか?

ただし、超音波には注意する点がいくつもあるので、困った時や迷った時は、

超音波洗浄の専門家に相談して下さい。

NCCも超音波を視覚化できる超音波ビュアーや超音波の測定ができるソノセイバーを持っていますのでお気軽にご相談下さい。

関連コラム

一覧に戻る

お問い合わせ・相談

製品選定や洗浄方法、導入に関するご相談など、
専門スタッフが貴院の状況に合わせてご案内します。

問い合わせする