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NCCコラム

医療機器洗浄や運用ノウハウなど、現場に役立つ情報をコラム形式で発信します。

2025.07.08 医療機器洗浄分野の海外情報

暑さを吹き飛ばせ!!7月の中央材料室を快適に過ごすヒント

今年は、梅雨明けが早く、めちゃくちゃ暑い7月、中央材料室の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

この暑さと湿気は、気分だけでなく、医療機器の管理にも影響を与えかねません。

こんな時期だからこそ、日々の業務を見直し、よりスムーズで安全な環境を整えることが

重要になります。

中央材料部では、患者さんの安全を最前線で守るため、日々多くの医療機器を洗浄・滅菌されています。

その中でも、特に重要でありながら、人の手に依存する部分が大きいのが用手洗浄です。

適切な用手洗浄は、医療機器の寿命を延ばし、何よりも患者さんへの安全確保に直結します。しかし、

「うちの用手洗浄、これで本当に大丈夫?」と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、皆さまのそんなお悩みを解決する一助となるよう、「中央材料部における医療機器

用手洗浄の標準作業手順書(SOP)作成方法」について、具体的なポイントと共にご紹介します。

他業種の事例やヨーロッパの最新情報も交えながら、皆さまが安心してSOP作成に取り組めるよう、

わかりやすく解説していきます。

SOP作成の極意:他業種から学ぶ「なぜ?」を追求する手順書

「標準作業手順書」と聞くと、なんだか堅苦しく感じられるかもしれません。しかし、SOPはただの

ルールブックではありません。作業の品質を一定に保ち、誰もが迷わずに安全に作業を進めるための

「道しるべ」です。

例えば、航空業界や食品工場では、わずかなミスが重大な事故につながるため、SOPは非常に詳細に、

かつ「なぜこの作業が必要なのか」という理由まで含めて作成されています。

この「なぜ?」を明確にすることは、作業者の理解を深め、手順の遵守を促す上で非常に効果的です。

医療機器の用手洗浄においても、「なぜこのブラシを使うのか」「なぜこの温度で洗浄するのか」と

いった背景をSOPに加えることで、単なる作業の羅列ではなく、意味のある行動として捉えられる

ようになるのではないでしょうか。

用手洗浄SOP作成のポイント~具体的に、そして実践的に~

用手洗浄は、適切な手順を踏まないと洗浄不足や機器の損傷につながる可能性があるため、SOPで詳細

かつ具体的に記述することが非常に重要です。ここでは、用手洗浄に特化したSOP作成の主要な要素と、

具体的なステップをご紹介します。

1. 作成前の準備と計画

 SOP作成に入る前に、以下の点をしっかり確認しましょう。

 ・対象機器の特性の把握

 ・用手洗浄が適しているか、メーカーの取扱説明書で必ず確認します。

  取扱説明書は、SOP作成において最も重要な情報源となります。

 ・必要な洗浄物品の確保

 ・適切なブラシ(硬さ、形状)、スポンジ、洗剤(酵素系、アルカリ性など)、リンス用浄水、

  そして最も重要な個人防護具(PPE)が十分に揃っているかを確認しましょう。

  物品の不足は、安全な洗浄を妨げ大きな要因となります。

2. SOPの構成要素

 基本的なSOPの構成要素は共通ですが、「作業手順」のセクションを特に充実させることが、用手

 洗浄SOPの鍵となります。

 ・タイトル: 例

  「〇〇医療機器の用手洗浄標準作業手順書」のように、対象機器を具体的に記載します。

 ・安全注意事項

 ・個人防護具(PPE)の着用

   耐水性ガウン、ディスポーザブル手袋(二重着用推奨)、保護眼鏡、マスクの着用を必須とし、

   具体的な装着方法も記述しましょう。鋭利な器具による刺創防止のため、細心の注意を払うよう

   強調することが不可欠です。

 ・洗剤・消毒剤の取り扱い

   使用する洗剤や消毒剤MSDS(化学物質安全性データシート)に基づき、適切な濃度、温度、

   換気、曝露時の対処法を明記します。

 ・使用する物品・機器

  ・洗剤

    酵素系洗剤、中性洗剤など、機器に適した種類の洗剤を明確に記載します。

  ・ブラシ・スポンジ

    機器の形状(内腔、凹凸など)に応じたブラシの種類(ナイロンブラシ、チューブブラシなど)

    を具体的にリストアップします。

  ・洗浄槽

    複数槽のシンク(洗浄用、すすぎ用)の使用を推奨します。

  ・浄水

    最終すすぎには精製水または軟水の使用を推奨し、その理由も述べることが重要です。

    水道水に含まれるミネラル分は、腐食や機能障害の原因となる可能性があります。

3. 具体的なステップバイステップの手順

 ここからは、実際に洗浄作業を行う際の具体的な手順です。

 1. 使用直後の処理: 使用後に噴霧洗浄剤や乾燥防止剤を噴霧し、一次洗浄や錆び抑制、または乾燥を

   防止します。中央材料部への速やかな搬送準備もこの段階で行います。

 2. 搬送: 密閉できる専用容器に入れ、汚染が飛散しないよう慎重に洗浄場所へ搬送します。

 3. 個人防護具(PPE)の装着: SOPの冒頭で述べたPPEを、手順の最初に確実に装着するよう

  指示します。

 4. 機器の分解: メーカーの取扱説明書に基づき、可能な限り全ての部品を分解します。ネジやピン

  などの小さな 部品の紛失には注意し、分解できない場合はその旨を明記します。

 5. 一次洗浄の実施: 適切な希釈濃度、温度に調整した洗剤溶液を洗浄槽に準備します。分解した

  部品も含め、全ての器材を完全に溶液に浸漬させ、気泡が残らないように注意します。

  推奨される浸漬時間(例:5~10分)を明記し、タイマーの使用を促します。

 6. ブラッシング・擦り洗い(物理的洗浄): 流水下または洗浄液中で各部品を丁寧にブラッシング

  または擦り洗いします。機器の形状に応じた適切なブラシを使用し、特に関節部、ヒンジ部、溝、

  内腔など、汚れが残りやすい部分は念入りに洗浄します。ブラシが届きにくい部分は、超音波洗浄機

  との併用も検討しましょう。

 7. すすぎ: 洗浄液を完全に洗い流すため、流水(推奨)か浸漬で十分にすすぎます。

  機器の内部や隙間にも水を通し、洗剤の泡や残留物がなくなるまで繰り返しすすぎます。

 8. 最終すすぎ(浄水によるすすぎ): 精製水または軟水を用いた洗浄槽、または専用のすすぎ場所で、

  機器に残った水道水や洗剤成分を完全に洗い流します。

 9. 乾燥: 圧縮空気、清潔なリントフリータオル、または乾燥機を用いて、機器内外の水分を完全に

   除去します。残留水分は微生物の増殖や腐食の原因となるため、特に重要です。

10.洗浄評価と点検: 明るい照明の下で、肉眼で汚れや残留物がないか、機器の損傷

  (曲がり、割れ、錆など) がないかを注意深く確認します。必要に応じて拡大鏡を使用し、

  清浄度を保証するために残留タンパク質検査などを使用する場合は、その手順と基準を明記します。

11.組み立て(必要に応じて): 点検後、メーカーのIFUに基づき、正確に機器を組み立てます。

  組み立ての際も、清潔な綿手袋などを装着して、感染物・汚染物の再汚染を防ぎます。

4. SOP作成の「もう一歩」:視覚化と背景理解の促進

 ・写真やイラストの活用: 特に分解手順、ブラシの当て方、汚れが残りやすい部位などは、

   写真やイラストを多用することで、視覚的に分かりやすくなります。

 ・洗剤の選択と管理: 使用する洗剤の特性(pH、酵素の種類、適合材質)を明確にし、その

洗剤が対象機器に適している 

 ・ことを強調します。洗剤の希釈方法、使用期限、保管方法についても記載が必要です。

 ・洗浄器具の衛生管理: 使用したブラシやスポンジは、洗浄後適切に消毒・乾燥し、

定期的に交換する手順もSOPに含めると良いでしょう。

 ・換気: 用手洗浄場所の適切な換気についても触れ、洗浄液の蒸気吸入などによる

健康被害防止に配慮します。

 ・トラブルシューティング: よくある洗浄不足の原因とその対処法

(例:固着した汚れへの対処法)を簡単に記載すると、現場での対応に役立ちます。

ヨーロッパの用手洗浄:高い意識と徹底した標準化

NCC・FIクリーン事業部が取り扱う製品の多くは、ヨーロッパからの輸入商品です。

ヨーロッパ諸国では、医療機器の再処理、特に用手洗浄に対して非常に高い意識と、徹底した

標準化が図られています。

例えば、ドイツやフランスでは、洗浄のプロフェッショナルが用手洗浄のトレーニングを受け、

実践的な知識と技術を習得しています。SOPも非常に細かく、洗浄剤の選定からブラシの種類、

水の温度、乾燥方法に至るまで、科学的根拠に基づいた手順が明確に定められています。

また、洗浄後の目視点検だけでなく、残留タンパク質検査といった客観的な洗浄評価が

一般的に行われています。

彼らのSOPは、単に手順を羅列するだけでなく、「なぜこの工程が必要なのか」「これを行わないと

どのようなリスクがあるのか」という背景が明記されています。これにより、作業者は単に指示に従う

だけでなく、その作業の重要性を理解し、責任感を持って業務に取り組むことができます。

このような思想が、患者様への安全性確保、ひいては医療の質の向上に繋がっているのです。

患者様への安全性確保:

清浄度を保つためのSOPの重要性

医療機器の用手洗浄は、その後の滅菌プロセスを効果的に行うための「第一歩」であり、最も重要な工程です。

どんなに優れた滅菌器を使っても、汚れが残っていれば滅菌は不完全になり、患者さんへの感染リスクを

高めてしまいます。SOPは、この用手洗浄の質を均一化し、誰が作業しても一定の清浄度を保つための

不可欠なツールです。正確に作成され、遵守されるSOPは、医療機器に付着した血液や組織片、

体液などの有機物を確実に除去し、清浄度の基準を満たすことを保証します。

これは、すなわち患者さんへの安全性確保に直結するものであり、中央材料部の皆さまが日々行っている

業務が、どれほど重要であるかを再認識させてくれます。

日本市場における用手洗浄SOP作成の未来:

より安全な医療のために

現在、日本の中央材料部では、用手洗浄の標準化に対する意識が高まってきています。

しかし、まだ多くの施設でSOP作成に悩みを抱えているのが現状です。NCC・FIクリーン事業部は、

ヨーロッパで培われた洗浄技術と、洗浄装置・洗浄剤・洗浄評価の3本柱を日本市場へ展開しています。

私たちは、単に製品を提供するだけでなく、その製品を最大限に活用し、より安全で効率的な

用手洗浄を実現するためのノウハウを提供することを使命としています。

NCC・FIクリーン事業部からの提案

NCC・FIクリーン事業部では、中央材料部の皆さまが用手洗浄SOPをスムーズに作成できるよう、

以下のサポートを提供しています。

1.SOP作成コンサルティング

ヨーロッパの先進事例に基づいたSOP作成のサポートや、貴院の状況に合わせた具体的なアドバイスを提供します。

2.洗浄評価システムの導入支援

残留タンパク質検査など、客観的な洗浄評価を行うためのシステム導入を支援し、SOPの有効性を

検証するお手伝いをします。

3.洗浄剤・洗浄器具の最適な選択

貴院が使用されている医療機器の種類や汚れの特性に合わせ、最適な洗浄剤やブラシ、スポンジをご提案します。

用手洗浄のSOP作成は、決して簡単な作業ではありません。

しかし、患者さんの安全を守り、中央材料部の 業務効率を向上させる上で、非常に重要なステップです。

私たちNCC・FIクリーン事業部は、その一歩を共に踏み出すパートナーとして、皆さまを全力でサポートいたします。

おわりに

7月という季節は、中央材料部にとって、清浄な環境を保つための意識をさらに高める時期でもあります。

今回ご紹介した用手洗浄SOP作成のポイントが、皆さまの日々の業務の一助となれば幸いです。

今後もNCC・FIクリーン事業部は、中央材料部の皆さまにとって価値ある情報提供を続けてまいります。

毎月発行されるコラムを通じて、最新の洗浄情報や現場で役立つヒントをお届けできるよう

努めてまいりますので、どうぞご期待ください。

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