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医療機器洗浄や運用ノウハウなど、現場に役立つ情報をコラム形式で発信します。

2026.09.03 医療機器洗浄の基礎

超音波洗浄のことをどこまで知っていますか?|モードの使い分けとバリデーション

卓上超音波洗浄装置の「スイープモード」「パワーモード」の違いや、超音波発信を簡単に確認する方法を、医療機器洗浄アドバイザーがわかりやすく解説します。

超音波洗浄のことをどこまで知っていますか?|モードの使い分けとバリデーション

超音波洗浄のことをどこまで知っていますか?

最近、次男と一緒に夕食をつくることがあります。今まで料理をしたことのない私にとって、最初の一歩は美味しい味噌汁をつくるところからでした。

水を入れて、具材を入れて、火をつけて、出汁を入れて、味噌を入れるだけ。
それでも少しでも美味しくつくるための工夫を検索すると、「合わせ出汁」というキーワードが出てきます。

昆布の旨味成分であるグルタミン酸と、かつお節の旨味成分であるイノシン酸を組み合わせると、科学的にも単体のときより約4〜8倍も旨味が強く感じられるそうです。

NCCの専門分野である洗浄でも、2種類のものを組み合わせることで洗浄効果を高める方法がいくつかあります。
今回はその一つをご紹介します。


卓上超音波洗浄には「モード」がある?

中材の洗浄業務で、卓上超音波洗浄装置を一次洗浄に使われている病院も多いのではないでしょうか。
しかし、皆さんは超音波洗浄についてどこまでご存知でしょうか。

卓上超音波洗浄装置には、洗浄モードの切り替えができる機種があり、「スイープモード」や「パワーモード」といった名称が付けられています。

ある病院のご担当者様にその違いについてお伺いしたところ、「切り替えて使ったことがなく、違いもわからない」というお答えが返ってきました。

他の病院でも「今までこの方法で洗浄していた」「そんな機能の説明はなかった」というお答えがほとんどで、モードの違いを理解されている方は少数です。

この原因は、業務の引き継ぎ(教育)にあると私は感じています。

たとえば新人の方に教育する際、作業手順を教えるだけで、なぜその洗浄工程が必要なのかという説明ができていないのではないでしょうか。
日々の業務が忙しく、時間を取ることは難しいものですが、できれば改善したいところです。


超音波による「汚れ落ち」のメカニズム

超音波洗浄は、液体中で気泡が発生・圧壊する「キャビテーション現象」を用いて、器材についた汚れを落とします。
この気泡の性質を左右するのが周波数です。

大きく分けると、以下の2つに分類できます。

低周波(25kHz〜40kHz程度)

強力な「叩き洗い」と言われます。
周波数が低いほど発生する気泡は大きくなり、それが弾ける際の衝撃波も強力になるため、鋼製器具の表面にこびりついた大きな汚れや、乾燥して固着した血液を剥離させるのに適しています。

高周波(80kHz〜100kHz程度)

繊細な「隙間洗い」と言われます。
周波数が高くなるほど気泡は非常に細かくなり、衝撃力は弱まりますが、気泡の密度が圧倒的に高くなるため、液体の浸透力が増します。

NCCが扱う医療用の超音波洗浄装置では、主に低周波(25kHz〜40kHz程度)が用いられます。
その中に、冒頭でお伝えした「スイープモード」「パワーモード」の2つがあります。

スイープモード(FM)

特定の周波数を固定せず、わずかに変動させることで、超音波特有の定在波を抑え、洗浄槽内の洗浄ムラを少なくする機能です。

スイープ(Sweep)とは「揺らす」という意味で、発振する周波数を中心値(例:40kHz)からわずかに上下(例:39kHz〜41kHz)へ高速で変動させます。

周波数が変わると水の中の波長が変わるため、定在波の「腹」と「節」の位置が常に動き回り、洗浄ムラをなくし、器材へのダメージも軽減します。海外のハイエンドモデルでは一般的な機能になっています。

パワーモード(PW)

同じ周波数のまま、超音波の出力(W:ワット数)を変化させるモードです。
たとえば40kHzのまま出力を最大にすることで、気泡の発生密度を高め、器材に固着した血液・組織片を力強く剥離します。

汚れのひどい器材に対して有効ですが、デリケートな器具の損傷(超音波エロージョン)には注意が必要です。

この2つのモードをうまく使い分けることで、落としにくい汚れも簡単に洗浄でき、業務の時短につなげることができます。


超音波のバリデーションについて

超音波洗浄装置には、バリデーション(洗浄能力の確認)という課題もあります。
代表的な確認方法を3つご紹介します。

アルミホイルテスト

従来から広く使われている方法で、ホイルの削れ具合を見ることで超音波の発信を確認します。
ただし、アルミ片が破れて異物混入の原因になるリスクがあるため、注意が必要です。

デジタル音圧計によるダイレクト測定

洗浄槽内の特定のポイントにおける超音波の音圧を、リアルタイムで数値化する方法です。
超音波のエネルギーが届きにくい「デッドスポット(死角)」を確実に把握できます。
ただし、音圧計は高価であり、購入のハードルは高めです。

プロセス評価

「実際に汚れが落ちているか」を証明する方法です。
ISO 15883に準拠した模擬汚染指標を洗浄物と一緒に槽内へ配置し、タンパク質などの模擬汚れが完全に除去されているかを確認します。

この方法も、消耗品を継続的に購入する必要があり、費用面がネックとなります。

上記の3つの方法は、すでにご存知の方も多いかもしれません。
それぞれに一長一短があります。

そこで、簡単に超音波の発信を確認できる方法をもう一つご紹介します。


超音波ビューア(定在波の見える化)

簡単に超音波の発振を確認できる方法とは、超音波特有の「定在波」を見える化する「超音波ビューア(Ultrasonic Viewer)」です。

ガラス製のスティックの中に入った特殊パウダーが、定在波による粉体の偏りを生み出し、強い部分や弱い部分を目視で確認できます。
超音波の発信を、簡単にチェックすることが可能です。

アルミ片などの後付けは不要で、比較的安価なうえ、一度購入すれば半永久的に使用できるため、私は多くの現場の皆様にお勧めしています。


実際にご使用いただいている中材スタッフの方からは、「誰でも簡単に超音波の確認ができる」というお言葉もいただきました。

ご興味のある方は、ぜひ以下よりご覧ください。


超音波は「縁の下の力持ち」

超音波洗浄は、目に見えないミクロの気泡の衝撃波で、ブラッシングでは届かない隙間の汚れを落とす、まさに「縁の下の力持ち」のような技術です。
しかし、その超音波がきちんと働いているかどうかの確認も、忘れてはならない大切な工程です。

「周波数」「ワット数」「定在波」など、普段あまり使わない言葉も多く、わかりにくい部分もあるかと思います。

超音波洗浄について疑問や気になる点があれば、一度NCCにご相談ください。
NCCは、いつも洗浄の安心をお届けします。

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