洗浄待ちの渋滞をどう減らす?器材が溜まる「ボトルネック」を処理から考える
装置や人員を増やす前に、前処理と業務手順から洗浄待ちを減らす方法を解説。中央材料室のボトルネックの見つけ方と、明日からできる3つの改善策をご紹介します。
忙しい時間になると、使用済み医療器材が一気に戻り、シンク前や洗浄エリアにトレーが溜まってしまう。
そんな経験はありませんか?
今回は、装置や人員を増やす前に、「前処理」と「業務手順」から洗浄待ちを減らす方法を考えます。
洗浄待ちはどこで起きる?
こんな経験はありませんか?
手術が続く午後、使用済み器材が次々と中央材料室(中材)へ戻り、スタッフは受入や仕分け、用手洗浄に追われます。
その間にも次のトレーが戻り、「洗わなければならない器材は増えているのに、なかなか次工程へ流れない」という状態になります。
こうした時、「ウォッシャーディスインフェクター(WD)を増やす」「スタッフを増やす」と考えたくなりますが、その前に確認したいのが、本当に詰まっている場所はどこかということです。
洗浄を速くする前に「ボトルネック」を探す
再生処理は、以下の工程で続きます。
- 使用終了
- 回収
- 前処理
- 受入れ・仕分け
- 用手洗浄
- WDによる洗浄
- 点検・組み立て
- 滅菌
上記のいずれかの工程の処理能力が低くなると、そこに器材が溜まります。
これが「ボトルネック」です。
WD不足に見えても、実は用手洗浄や仕分けで止まっていることも少なくありません。
まず「器材はどこで待っているのか」を確認することが大切です。
前処理で時間の余裕をつくる
前処理で「今すぐ全部洗う」を変えられないか
重要なのが、使用後から本洗浄までの時間です。
血液や組織などの汚れは、搬送中の段階で前処理を行い、バイオフィルムになる前の段階まで分解してしまうことで、浸漬洗浄を省き、本洗浄までの時間に余裕を生み出せないかと考えました。
選択肢の一つとして、噴霧式一次洗浄剤「Pre-Foam Enzyme(プレフォームエンザイム)」を使用し、返却された器材をすべて浸漬処理するのではなく、必要性や器材の特徴に応じて順番を整え、作業の集中を分散する方法を試みました。
その結果、前処理に時間の余裕が生まれました。
生まれた時間は、複雑な構造の前処理や無機物汚れの除去、必要なブラッシング作業など、残業の原因となっていた業務の改善にもつながっています。

NCCなら、まず4つを確認します
洗浄待ちのご相談をいただいたとき、私たちは最初から製品をご提案するのではなく、次の4つを確認します。
- 器材が戻る時間
- 返却から本洗浄までの待ち時間
- ピーク時の最大滞留量
- 待ち時間の長い器材で、再洗浄が増えていないか
たとえば14時から16時に器材が集中するのであれば、その時間帯を30分単位で見るだけでも、受入や用手洗浄、WD前のどこで滞留しているかが見えやすくなります。
大切なのは「人をもっと頑張らせる」ことではなく、「器材が無理なく次工程へ流れる仕組み」をつくることです。
洗浄待ちを減らすことは、患者安全とBCPにもつながる
器材の溜まりからスタッフが焦り、作業が集中すると、本来確認すべきことを確認する時間まで失われる可能性があります。
だからこそ「速く洗う」だけでなく、「落ち着いて正しく洗える流れ」をつくることも大切です。
また、前処理・標準化・優先順位づけ・工程の平準化は、断水・停電・人員不足・設備停止などが重なる災害時にも役立ちます。平時の業務改善そのものが、将来の業務継続(BCP)につながると、私たちは考えています。
NCCが考える、明日からできる3つのこと
- 30分単位で器材の返却時間を記録する
- 器材が一番溜まる場所を1つ探す
- 最大待ちバスケット数を、改善前後で比べる
洗浄待ちを減らす第一歩は、「どこで器材が待っているのか」を知ることです。
装置や人員を増やす前に、前処理と業務手順を見直すことで、器材の流れを変えられる可能性があります。
皆さんの施設では、使用済み器材が最も溜まるのは何時でしょうか。
そして、その器材は「何を待っている」のでしょうか。
まず30分だけ現場を観察すると、改善の入口が見つかるかもしれません。
おわりに
「忙しい時間になると器材が溜まる」
「もう少しスムーズに流したい」
「用手洗浄の負担を減らしたい」
そんなお悩みがあれば、現在の工程を一緒に整理してみませんか?